「振り返り」と「感想」は違う

ここからはPDCAの「Check」について考えていきます。Checkとは「仕事の振り返り」の事です。

誰だってミスや失敗は繰り返したくありません。「何度同じ事を言わせるの!」「やっぱり君には無理かな」とは言われたくない。一方で、うまく出来たことは繰り返したい。「前回は良かったのに…」「まぐれだったの?」と言われるのはごめんです。

どうしてミスを繰り返してしまうのか。うまく出来たことを繰り返すことができないのか。その理由の多くが仕事の「振り返り方」にあります。

初めに知っておいてほしいのは、振り返りは「感想」とは別のものだということです。一緒にしないでください。「面白かったなあ」「苦労したけれど、自分なりに頑張ったと思う」「次は自分で企画もやってみたい」…これらは全てあなたの感想です。

仕事の振り返りとは「終えた仕事(または途中まで進めた仕事)の出来映え・やり方の良し悪しを明らかにすること」です。仕事の大小を問わず意識的に行わないといけません。小さな仕事の振り返りがきちんとできない人は、大きな仕事の振り返りもできません。

しっかりとした振り返りは次の仕事に必ず良い影響を与えます。ただし楽な作業ではありません。野球やサッカーなどのプロスポーツを思い浮かべてください。勝っても負けても試合後に監督インタビューがありますよね。振り返りとは、自分の頭の中で、インタビュアーとそれに答える監督の一人二役をこなすのに似ています。

よい振り返りのためのポイントは何か。監督インタビューを例にして考えてみましょう。

インタビュアーの質問例(1)

「あのシーンでの審判の判定は、どう思われましたか?」
「なぜ抗議しなかったのでしょうか?」

振り返るべき点は、そこだけではありません。振り返りに「偏り」があると、今後に活かせる大切なことを見落としてしまいます。

インタビュアーの質問例(2)

「これは勝ちに等しい引き分けだと考えてよろしいですか?」
「テストだから勝敗は度外視してもいいということですか?」

サッカーなどでは、ただ勝つだけでは国民が納得しないという国もあるそうです。練習試合なども含めると、試合の勝敗だけでは成果の良し悪しを決められないケースはもっとあるでしょう。あなたの仕事はいかがでしょうか。何を基準に良し悪しを判断しますか?

インタビュアーの質問例(3)

「他に改善点はありませんか」
「収穫がそれだけですと、本番に向けて不安が残りますが…」

振り返りによって得られる発見や気づきが多いほど、次回以降の仕事の品質が高まります。しかし、同じ仕事であっても得られる気づきが多い人と少ない人がいます。どうしてでしょうか。気づきを増やすためにあなたが出来ることは何でしょうか。

インタビュアーの質問例(4)

「前の試合でも同じことが課題になっていましたよね」
「『詰めが甘かった』とは? 具体的には?」

せっかく気づいたことも、あやふやなままにしておくとすぐに忘れてしまいます。どうすれば、具体的な気づきを忘れずに自覚することができるでしょうか。

以上のような観点で、以降のトピックで「振り返り」について詳しく考えていきます。

また企業や組織に所属していると、振り返りには「評価」という側面も含まれます。上司は部下の仕事を評価します。ところが「私はがんばっているのに、上司はきちんと評価してくれない」という不満を持ってしまう人もいます。どうしてそのような事が起こるのでしょうか。このことについても後で取りあげます。

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