種まきと収穫

学びの生産者たちの「仕事をやる前」と「やった後」の特徴とは何か?
本書ではそれらを「種まき」と「収穫」と呼ぶことにします。

種まき-発見-収穫

仕事を通じて学ぶ・仕事をやりながらより良いやり方をつくり出すということを考える時、中心に据えるべきは『発見』です。「そうだったのか!」「ひょっとして!?」「やっぱり!」というような形で仕事を進めている中でポン!と出現します。

そういった発見を見過ごしたり、忘れてしまったりしないようにやることが、仕事を終えた後の「発見の収穫」です。経験を着実に積み重ねられる人、過去の経験を次の仕事に活かせる人は、この収穫作業を丁寧に行っています。

発見の収穫量を増やすためにできることは何でしょうか。抜け漏れの無い収穫を心がけるだけではなく、発見の数そのものを増やすという方法があります。仕事の中での発見を増やすための事前の仕込みにあたるのが、「発見の種まき」です。色々な事によく気づく人は、実はその場のひらめきではなく、相応の準備をしていることが多いのです。

業種や職種の垣根を越えて、多種多様な人たちの「種まき」と「収穫」における具体的な所作をさらに紐解き、これまで違う分野(経営管理、人事管理、建築、人工知能など)で使われてきた言葉や考え方をあてはめると、すっきり整理できてわかりやすくなる部分が多く見つかりました。それらをふんだんに取り入れつつ、具体的なエピソードも交えながらお伝えしていきます。

「種まき」「収穫」というシンプルな言葉を使っていますが、それぞれの中には、難易度の異なることが含まれています。

新入社員や若手社員でもすぐに取り組めるような基本的なこと(「より良いやり方」うんぬんの前段階の、同じ失敗を繰り返さないための基本的なこと)もあります。一方で、ある程度経験を積んだ人でないとちょっと難しいだろうと思われることもあります。

そこで本書では、発見の種まきと収穫のそれぞれを「基本」と「発展」の二段階に分け、以下の四つの区分で解説を進めていきます。

発見の「種まき」について

〔 基本編:ゴールの定義 〕
与えられた仕事を間違って理解していると、間違った発見しか得られません。ミスややり直しを防ぐだけではなく、「頑張って工夫した」が「余計なお世話」にならないようにするための、仕事の定義の仕方・発注者とのすり合わせの仕方などについて紹介します。これまで管理職教育等で扱われていた「ゴールイメージ」という考え方を、ふつうの目先の仕事を正しくとらえるための技術として取り入れています。

〔 発展編:研究モードの発動 〕
発見の達人は、そもそもの「目の付け所」に優れていることが多いです。目を付けているから、普通は見落としてしまうような事も逃さない。誰もが達人になれるわけではありませんが、近づくことはできます。仕事をやりながら、その仕事のやり方自体を徹底的に研究している達人たちの、研究モードの発動の仕方(=目の付け方)をいくつかのパターンに分類し、エピソードを交えて紹介します。

発見の収穫について

〔 基本編:経験の言語化 〕
よく「仕事からきちんと学びなさい」とか「振り返りが大事」と言われます。では、振り返りとは一体何か? 何をどうすれば、しっかり振り返ったといえるのか? 古くから社員の採用や昇進昇格の面接で使われてきた手法を応用した「3点セット」というシンプルで強力なツールを中心に紹介します。

〔 発展編:学びの一般化 〕
過去の経験から得られた学びが、そっくりそのまま未来の仕事に役立つとは限りません。同条件の仕事機会が都合よく与えられるとは限りませんし、変化の多いビジネス環境下では全く新しい仕事にチャレンジしなければいけない時もあるでしょう。そのような時、過去の経験はどうすれば役立てられるでしょうか? 個別の経験情報を材料にして、オリジナルのコツやノウハウを自力で開発するための「マイセオリー」という考え方を紹介します。

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