「気づき」の量を増やす

「もっとさあ、他に気づいたことは無かったの? 何も考えないで仕事をしていたわけじゃないでしょ? これじゃあ何のために君にこの仕事を任せたのかわからないよ。日頃から問題意識を高く持って、自分で色々な事に気づいていかないと成長しないよ?」

確かにそうなのですが、ではどうすれば「問題意識を高く持った」ことになるのでしょうか。それがわからなければ、気づきを増やすことなどできません。

気づきの量とゴールイメージの関係

問題意識の「問題」とは、現状と目標のギャップのことです。目標が無ければ、現状と比較することができませんから、当然問題にも気づくことができません。

勘違いしないでください。「目標は常に高く持て」という意味ではありません。目標とはゴールイメージのこと。仕事の大きさや難易度に関わらず、ゴールイメージを明確にしておかなければ、何かに「気づく」ことはできないということです。

お客様からの電話相談を毎日何件も受け付ける「サポートセンター」の相談スタッフを例に挙げます。あるスタッフは「1分1秒でも早くトラブルを解決すること」が良い仕事だと思っています。仕事の中で気づいた事を尋ねると「もっと早く故障箇所を探り当てるために、質問の引き出しを増やさないといけない」「初めに○○を伝えておくと、スムーズに解決できることがわかった」などと答えました。

別のスタッフは「お客様に共感を示し、ストレスを和らげること」が良い仕事だと思っています。仕事の中で気づいた事を尋ねると「ただ申し訳ないと言うだけでは相手の怒りはおさまらない」「きっと○○にお困りなのでは、という言い方をすると、緊張感が…」なとと答えます。

どちらが正しいかではありません。「良い仕事」の定義が違えば、気づくことも違うということです。

もしも、さらに別のスタッフが「早く解決する」と「ストレスを和らげる」の両方の実現が自分の仕事のゴールイメージだと思っていたらどうか。おそらく、得られる気づきの量はもっと増えるでしょう。それだけでなく「早期解決とストレス対処を両立させることの難しさ」のような、新たな気づきも生み出すことができるでしょう。

今あなたが行っている仕事のゴールイメージは何ですか。もし不明確であれば、もう一度発注者とすり合わせをしてください。しつこいようですが、ゴールイメージは発注者が決めるものです。あなたが勝手に「いい仕事とはこういうものだ」と決めつけるものではありません。

また前のトピックで紹介したように、ゴールイメージに「松竹梅」のレベル感を持たせると、さらに気づきの量を増やすことができるでしょう。「現状」と「目標」だけでなく「最低限の目標」や「さらに上の目標」とのギャップも自覚することができるからです。

仕事中の「気づき」をどれだけ残しておけるか

明確なゴールイメージを持って仕事をしていれば、行っている途中でいろいろな事に気づきます。ただし、それを全て記憶しておくのは大変です。ふっ、と湧き上がった気づきは、その重要性に関わらずあっさりと忘れてしまうものです。

「手順に問題があったのだけど、…あれ、先にどっちのデータから処理したか、忘れてしまったよ」「先週の商談で、お客様が意見を変えてくれて良かったよ。言い方を変えて商品を説明してみるものだな。…って、あれ? 何て言ったっけ?」このようなことは頻繁に起こります。

せっかく手にした「気づき」が、指のすき間からこぼれ落ちないようにするには、自分の記憶力に頼らないのが一番です。気づいたその時すぐにどこかに書き取り、記録を残すクセをつけてください。

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