○○○という意味では同じ

常に変化するビジネス環境の下では、新しい仕事が次々とあなたの所にやってきます。あなたがその仕事を望むか、望まないかに関わらず。

ここからは「過去の経験を、次のちょっとタイプの異なる仕事に応用する方法」について考えていきます。

過去の経験を次の仕事でも応用するとは? 4つの例をご紹介します。

上司
「B社の営業もうまくいっているようだね。これまでのA社とは全く違うタイプの会社だから、もっと苦労するかと思ったけれど、良くやっているね」

Kさん
「はい。最初の関係作りという意味ではA社に対してやった事と同じでしたので、今のところ何とか進んでいます」


上司
「例の社内プロジェクト、君の事をリーダーが褒めていたよ。未経験なのにサブリーダーとしてよく動いてくれるって」

Lさん
「本当ですか!? これからも頑張ります。サブリーダーの仕事のうち成果物を集約する部分については、先月まで担当していた業務と同じだったのでスムーズにできました」


上司
「新人研修の講師、無事に終わったそうだね。ご苦労様」

Mさん
「ありがとうございます。相手が違いますが、ファシリテーションという意味では、これまで何度もやっていたユーザー会の進行と同じだったので、それほど準備に苦労せずに済みました」


上司
「この事業部に来てまだ日は浅いけれど、このレベルのレポートを作れるならもう安心かな」

Nさん
「早めに実務レベルの担当者を巻き込んでおくという部分は、前の事業部でやっていた仕事と同じですし、そのあたりのポイントはわかっているつもりです」

上記の4つの例には全て共通点があります。

「◯◯◯という意味では同じ」「◯◯◯の部分は同じ」

という言い方をしていますね。
この「◯◯◯」が、過去の仕事と今の仕事の共通点です。
上記の4つの例では共通点は順に以下の通りです。

Kさん:「最初の関係作り」
Lさん:「成果物の集約」
Mさん:「ファシリテーション」
Nさん:「実務レベルの担当者の巻き込み」

過去に経験した仕事とこれからやる仕事の種類が異なっていたとしても、似ている部分を見つけることはできます。すると、その部分については過去の経験を活かすことができます。

初めての仕事でも「まったくのゼロからスタート」ではなくて、「この部分はあの仕事と同じだから…」とか「ここまでなら何とかやれそうだ」と考えることで、過剰な緊張感や不安を解消することができます。そして「この部分は同じ要領でやれば2~3時間くらいだろう」という見通し感を持つこともできます。

ただしそのためには、過去の経験から学んだことを自覚していて、必要な時に思い出せるようにしておかなければなりません。上記の例であれば、自分自身の中で「最初の関係作りはこれがポイント」とか「成果物の集約をする時の注意点はこれとこれ」というように整理しておかないと、いざという時に行動に移すことができません。

つまり過去の「うまくできたこと」「できなかったこと」をそのまま個別の思い出のままにしておくのではなくて、「こういう時にはこれが大事」というような形の、自分なりのコツやノウハウとして整理しておくということです。

学生時代、初対面の同級生とおそるおそる会話を始めて、「おお!君も○○県出身なんだ!」と同郷であることがわかった途端、急速に仲が良くなっていった経験のある方はいますか? この経験を、

・初対面の人と話す時は、共通点を見つけよう。すると早く仲良くなれる。

という形で整理して自覚している人は、新入社員同士の顔合わせや、初対面のお客様や関係会社との打ち合わせなどでも、同じように早く仲良くなることができます。共通点は出身地でも、趣味でも、行ったことのある場所でも、なんでもいい。

過去の経験から得られた学びを一般化して作った、自分なりのコツやノウハウの事を、「マイセオリー〔My Theory〕」と呼びます。

「専門のビジネス書」や「○○スキル研修」で学習するような立派な方法論(これらはパブリックセオリー〔Public Theory〕と呼びます)ではありません。万人の役に立つかどうかはわからない、ほんのささいな場面についての自分なりのやり方。でも、少なくとも自分自身の役には立っている、自分発の方法論。それがマイセオリーです。

次のトピック以降で「マイセオリーの作り方」を詳しく解説します。

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