○○○という意味では同じ

「PDCAサイクル」の図を見ていると、1つの仕事だけについて同じ円の上をグルグル回り続け、ひたすら改善していくイメージを持ってしまいます。ところが現実の仕事はそうではありません。前のトピックで述べたように、常に変化するビジネス環境の下では、新しい仕事が次々とあなたの所にやってきます。あなたがその仕事を望むか、望まないかに関わらず。

このトピックからは「ある仕事で回したPDCAサイクルを、別の仕事のPDCAサイクルにうまくつなげる」方法について考えていきます。言い方を変えると「過去の経験を次の仕事に応用する方法」です。

過去の経験を次の仕事でも応用するとは?
以下に例を挙げてみます。

上司
「B社の営業もうまくいっているようだね。これまでのA社とは全く違うタイプの会社だから、もっと苦労するかと思ったけれど、良くやっているね」

Wさん
「はい。最初の関係作りという意味ではA社に対してやった事と同じでしたので、今のところ何とか進んでいます」


上司
「例の社内プロジェクト、君の事をリーダーが褒めていたよ。未経験なのにサブリーダーとしてよく動いてくれるって」

Xさん
「本当ですか!? これからも頑張ります。サブリーダーの仕事のうち成果物を集約する部分については、先月まで担当していた業務と同じだったのでスムーズにできました」


上司
「新人研修の講師、無事に終わったそうだね。ご苦労様」

Yさん
「ありがとうございます。相手が違いますが、ファシリテーションという意味では、これまで何度もやっていたユーザー会の進行と同じだったので、それほど準備に苦労せずに済みました」


上司
「この事業部に来てまだ日は浅いけれど、このレベルのレポートを作れるならもう安心かな」

Zさん
「早めに実務レベルの担当者を巻き込んでおくという部分は、前の事業部でやっていた仕事と同じですし、そのあたりのポイントはわかっているつもりです」

上記は全て共通点があります。

「◯◯◯という意味では同じ」「◯◯◯の部分は同じ」

という言い方をしていますね。
この「◯◯◯」が、過去の仕事と今の仕事の共通点です。
上記の例だと順に

Wさん:「最初の関係作り」
Xさん:「成果物の集約」
Yさん:「ファシリテーション」
Zさん:「実務レベルの担当者の巻き込み」

となります。
これらは全て、過去の仕事から学んだ自分なりのコツやノウハウの名称です。

この自分なりのコツやノウハウの事を、
「マイセオリー(My Theory)」と呼びます。

ビジネス書に載っているような立派な理論ではありません。誰にでも役立つかどうかもわからない、ほんのささいな場面についての自分なりの理論。でも、少なくても自分には役に立っている、自分発の理論。それがマイセオリーです。

マイセオリーに唯一の答えはありません。マイセオリーなのだから、あなたの役に立てばいいのです。
たとえば上記の中の「最初の関係作り」というのは、

「最初の関係作り」とは?
→訪問時は、自己紹介の前に「訪問の目的」を必ず伝える。

というようなシンプルなマイセオリーかもしれませんし、

「最初の関係作り」とは?
→課題を訊かないと提案できないが、最初から詳しい事情は教えてくれない。
→できるだけ早く「この営業には社内の事情を話してもいいかな」と思われるような、信頼関係を作らないといけない。
→信頼関係を作るために、まず訪問前に△△を準備する。
→訪問時には☆☆について説明した後、「○○○」という言い方でお願いをする。

というように、細かく考えられたマイセオリーかもしれません。
ボリュームを多くするか少なくするかは、作る人次第です。

このような形で学んだ事が「マイセオリー」として整理されていると、色々な場面で応用することができます。

上記の「最初の関係作り」の場合だと、特定の1社に限らず様々な営業先で役立てることができます。営業だけではなく、社内の他部署の人との「最初の関係作り」にも役に立つかもしれません。

他の「成果物の集約」「ファシリテーション」「担当者の巻き込み」も同様です。マイセオリーは「色々な仕事で使い回しが効く、ちょっとした教訓」のようなものです。
与えられた仕事の中でマイセオリーをたくさん作っておくと、新しい初めての仕事を任された時にうまくやり遂げる可能性が高くなります。
なぜなら、初めての仕事でも「ゼロからのスタート」ではなくなるからです。マイセオリーが使えそうな部分を探して「ここまでなら何とかやれそうだ」と余計な不安を解消することや、「この部分は同じ要領でやれば2~3時間くらいだろう」という見通し感を持つこともできます。

次のトピックから「マイセオリーの作り方」をくわしくお伝えしていきます。

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