PDCAというけれど

仕事のやり方について「基本はPDCA」とよく言われます。
PDCAは、もともとは生産管理や品質管理などの管理業務を円滑に進めるための手法として、W・エドワーズ・デミング博士らが提唱した考え方です。

PDCAは「Plan・Do・Check・Action」のそれぞれの頭文字を並べた言葉です。それぞれの意味は、以下のように言われています。

Plan:計画を立てる
Do:実行する
Check:評価する
Action:改善する

「PDCAサイクル」という言い方もされます。P→D→C→Aときて、Aからまた次のPに進む。このサイクルを「クルクルと回し、継続的に改善していく」ことが大切だと言われています。

ただ肝心なのは中身です。
PDCAという言葉だけを覚えただけで、仕事の品質がグッと良くなったり、効率がアップすることはありません。

これまでたくさんの企業や組織の話を聞いてきましたが、PDCAサイクルがうまく回っていない最大の原因は、

具体的にどうすればいいかわからない

でした。
PDCAという言葉、PDCAサイクルの絵は知っている。
Planは計画、Doは実行、Checkは評価、Actionは改善ということも知っている。
でも、目の前の自分の仕事で、何をどうすればいいかがわからない。

以下は、相談の中で出てきた台詞です。
あなた自身や、あなたの所属する企業や組織にあてはまるものはありますか?

<Planについて>

「Planが大事だと教わったからその通りにしていたら『そんなのに時間をかけないで、さっさとやれ』と言われました。Planって無意味なんですか?」

「ちゃんとPlanどおりに仕事を進めたのに、後から『期待していたイメージと違う』と言われ、『私は言われた通りにやりました』と言ったら『言い訳するな!』と怒られました・・」

「結局Doの段階で細かく軌道修正するじゃないですか。その場の状況でアドリブで動かなければいけない。Plan通りに運ぶ事なんて滅多にないのだから、もうPDCAなんて古いんですよ」

<Doについて>

「我が社の社員はDoばかりでCとAが無い」※ある会社の社長

「ウチはPDCAではなくDDDDですよ(笑)上はとにかく動け!しか言いませんし」※同じ会社の社員

「Doの段階で、困って上司に相談したら『自分で考えろ』と言われました。だから次は相談せずに自分で考えていたら『なんでもっと早く相談しないんだ』と言われました。どうすればいいのですか?」

<Checkについて>

「仕事を終えたら必ずCheck(振り返り)をしろと教わったのですが、振り返りって何をどのようにやればいいのでしょうか?」

「研修の時には、講師や他の受講者が細かく評価してくれて、改善点に気づくことができました。でも、今の職場では、上司や先輩があまり評価をしてくれないので、改善点に気づけません」

「いつも似たようなミスをしてしまう。Checkが甘いと言われたけれど、いったい何が悪いのだろう?」

「そもそも、現状忙しくてCheckをやる時間なんてありません」

<Actionについて>

「Checkの後はAction、対策を立てろと言われても『次は気をつける』しか思いつきません」

「上司から『去年担当した案件の経験を活かせ』と言われたけれど、違うタイプの案件だし、何をどう活かせばいいの?」

「そもそもDoもActionも『動け!』という単語でしょう?やりゃあいいんですよ」

<PDCA全体について>

「これからはPDCAサイクルをもっと速く回すように」(部長)
「また余計な『行動計画シート』が増えるのか・・」(部員)

「PDCAは社員の基本行動です」(研修部)
「私の部門は特殊ですから、PDCAは合いません」(受講者)

「PDCA」は、たいへん抽象的な言葉です。
具体的に何をすればいいかを考えたり、社員や部下に指導をしたりするためには、Plan、Do、Check、Actionという4つの単語だけでは足りないのかもしれません。

卓球の福原愛選手は、中国のプロリーグに参戦したばかりの頃、驚いたことの1つに「中国で使われている卓球専門用語の多彩さ」を挙げていました。日本語では1つの言葉が、中国では細かく分かれていることもあったそうです。

言葉が細かく分かれているということは、それぞれの違いが認識できるということです。違いがわかるということは、それぞれを区別して練習・習得できるということです。

<たくさんの言葉が詰まっています>

「『仕事を通じた学び方』を学ぶ本」の中には、PDCAという言葉についての解説はありません。ですが、そもそものねらいは、ほとんど一緒です。

仕事からきちんと学び、学んだことを元にしてより良いやり方を考え、次の仕事で活かす
それを繰り返し、継続的に仕事の品質を高めていく

そのために具体的にどうすればいいかを、言葉を尽くして説明している「学び方を学ぶ」ための本です。かなり細かいこと、たとえば、

・仕事に取りかかる前に、目的やゴールを明確にしろというが、上司に「目的は何ですか?」とは言いづらい(挑発的だ)し、どんな質問の仕方をすればいいのだろう?

・部下の「振り返り」を支援するためには、どんな会話をどんな順番でやればいいのだろう? こちらから一方的に正解を言うだけでは、いつまでたっても成長しないし。

というようなことにも触れています。取材を通じて得られた、具体的なエピソードや、実践的な「使いやすい言葉」をたくさん盛り込みました。

たくさんの言葉を持っていれば、自分で仕事をしながら気づけることも増えますし、指摘や指導をする時もピンポイントで明快になります。その言葉を知っている人同士であれば、解釈の違いでイライラすることもありません。

このWebサイトで、その内容の一部を公開しています。

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